ザーッときて、すぐに通り過ぎてしまったにわか雨は蒸し暑さだけを残していった。
暦の上ではとっくに秋だというのに、まだまだ夏はやる気でいるようだ。
それでも風の中や、ふとした瞬間に移ろう季節への名残惜しさを感じることがある。

つい先日まで駅の壁面に飾られていた地元小学生たちのお習字。
みな、思い思いの『夏』を文字にしたためてかいたが、いつ間にか撤去されている。

季節が私を置いてけぼりにしているのか、
人が季節より先回りしたがるのか、
もっと「いま」のなかで、「いま」を味わい、「いま」を楽しみ、「いま」を受け止められたなら、
人は穏やかでいられる気がする。

そもそも夏というのは
冠をつけて、両袖を振って踊る人の形の象形文字に由来するそう。
実に楽しげで生き生きしています。

あのお習字は思い出と共にどこかに大切にしまわれているのだろう。
未来の宝物になるために。