読書をしていると物語の中の世界と自分が今いる世界とが重なりあうことがあります。
それがあまり頻回に起こると、とても不思議な気持ちになります。
雨が降り始めたなと思いながら読み進めていると、話の中も雨がしとしと降り、想像が雨の匂いをかきたてるのか現実に雨の匂いが鼻をくすぐるのか分からない。
先日、友人から東野圭吾さんの短編集「素敵な日本人」を借りました。一話目を昨夜に読み終わり、今朝の通勤電車の中で続きを読もうと二話目を開くと「十年目のバレンタインデー」というタイトルが目に飛び込んできました。
そういえば今日はバレンタイン。
何の事前情報もなく読み始めただけに、思わず「おっ」と声に出してしまい、我ながらおかしくなりました。
本の中とのリンクもそうだけれど、知らず知らずのうちに様々なところで何かしらとリンクしながら毎日は営まれているんだと知らされます。
なぜ、このタイミングでその場所を通り過ぎたのか…
なぜ、この人に会ったのか…
なぜ、この服を今日は選んだのか…
なぜ、この広告が目に飛び込んできたのか…
なぜ、この電車に乗り遅れたのか…
不思議な織物のような世界。
どの糸も繋がっていると思えば、もう少し他人事は自分ゴトになるし、利己から利他の色を刺していけるのではないだろうか。
お世話になっている方々に感謝を伝える日でもあるバレンタイン。
そんなことをぼんやりと思うのです。